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トライアングル - 小さいけれど輝く響き

小学校の発表会で、4年生は合奏を披露する。

娘の担当する楽器は、トライアングルになった。

けれど、隣に立つのは、シンバル。

それでなくても小さな音しか出せないのに、シンバルのジャンジャンなる大音量にかき消されて、殆ど聞こえないと言う。

譜面を見ても、シンバルと同じリズム、同じタイミングでトライアングルが書かれている。

なぜ?この小さな楽器の登場する意味は何?他の楽器についてもそうだ。鍵盤ハーモニカのメロディーの意味は?どうして、この人数で演奏するのか。

とりあえずあればよいのか?なんなら合奏の響きに無くてもよいものなのか?そうとすら疑いたくなるほどの、お粗末な譜面。合奏の中の楽器は、それぞれの響きを聞かせられることが大事だと思うのに。

そして、無事に終了した発表会の数ヶ月後、車を運転している時にラジオからワーグナーのマスタージンガーが流れてきた。壮大な交響曲で、オーケストラの規模もマックスだ。そこで、聞こえてきたのは、トライアングルのキラキラした音色。シンバルも、コントラバスたちも、ホルンやトランペットも響きを効かせるハーモニーの中で、大切な役割を果たしている。先の小学校の発表会の演奏との違いは、それぞれの楽器のハーモニーだ。ごちゃまぜにならずに、全ての楽器の音が聞こえている。作曲とは、そうあるべきなのに、発表会用の楽曲は、どうして楽器同士の響きを考えずに編曲したのだろう。

そして、その楽譜を見た先生は、なぜ、子どもたちがそれぞれの楽器を演奏する風景を想像して変更したりしなかったのだろう。個々人の響きが個別に聴かせられることで、やる気や責任を持って合奏できると思うのだけど。とりあえず、音がずれないようにリズムを合わせる以上のことを伝えることができるのに。

 

私が指導者だったなら、発表会を、あえて個性を強調する場にしたい。子どもたちが、責任と自信を持って、自分を表現する晴れの場にしたい。個々の輝きが合わさって聴衆の心に響く演奏ができるように導きたい。協力や協調性の意味を、個性を消して周囲と合わせるのではなく、際立つ個性を合わせたものとしたい。自分軸あってこそ、協力が成し遂げられたという成果を保護者に披露することを発表会のゴールとしたい。